「氷菓」米澤穂信

ひょうんなことから「古典部」に入部することになった高校生のホータローが、日常の様々な小さな謎を解いていく青春ミステリ。
メインの謎は、三十三年前の学校で起きた事件。
過去の文集や壁新聞など、わずかな手がかりを元に謎を解き明かしていく過程が心地よい。
本編とは違うところで、素敵な言葉があったので抜粋。
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あんたひとりでもめげちゃダメ!男の子は孤独に耐えて強くなるものだから。
もし誰か他にいるなら、それはよかったわ。男の子は人間の中で磨かれるものだから。
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ユーモア交じりに照れ臭くはぐらかすような中で、本質を言い当てているようなところがとても素敵。
それから、これ。
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きっと十年後、この毎日のことを惜しまない。
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うーん、逆説的に、ものすごく怖い言葉だ。
胸を張ってこんなことが言える毎日を送っているか、というか、言えるような毎日を送れるようにしないとね、という。
なかなか痛くて気持ちよいです。
氷菓/米澤穂信/角川文庫
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