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「もっとコロッケな日本語を」東海林さだお

もっとコロッケな日本語を

「この企画はかなり面白くなる」と確信した。
終盤「青春の辞典」を読み始めたときである。

著者のエッセイはどれも面白いのだが、これはネタフリの時点でかなり期待させた。
すなわち、「青春時代を思い出しながら、国語辞典を頭から順にチェックし、性に関する単語の説明をチェックしていく」というもの。・・・前置きもなくこんな話ですみません、ちょっと待って、食について軽妙洒脱に語るエッセイ「丸かじりシリーズ」で知られる著者、決して下品な作品にはなりません。

辞書を頭からチェックし、性に関する単語を拾っていく。広辞苑と新明解国語辞典で同じ言葉を引いて比較しながら、辞書編集者の胸中を探る。性に関する単語も他と平等に扱おうと思いつつ、でもやっぱり人間だからどこかぎこちなさが出てしまう、編集者のそんな葛藤がありありと伝わってくるのだ。

奥歯にもののはさまったような表現があれば「本音を言えッ」と突っ込み、書き過ぎと思える表現があれば「人間味にあふれすぎてはいないか」とたしなめる。まるで辞書の編者とリアルタイムな駆け引きをしているよう。そしてそんな著者自身の表現も、決して下品にならないよう、時に控えめに、遠回しになっているところが微笑ましい。

こうして読んでいると、辞書という、一見無味乾燥な情報の塊に見えるものが、当然ながら血の通った人間によって作られた、そして言葉への思いにあふれた温かいものであるという事実に気付かされる。

・・・なんて、下品にならないようにもっともらしく書いてみたが、きっとそんな小難しい読み方は期待されていない。軽い語り口に素直に身を任せて大笑いするのが一番。
「青春の辞典」は終盤の約50ページほどだけなのだが、それを加味してもこれ永久保存版だなー。


「もっとコロッケな日本語を」/東海林さだお/文春文庫
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