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「白夜行」東野圭吾

白夜行

廃墟となったビルで、質屋の主人の男性が殺された。しかし犯人を特定できないまま事件は迷宮入りする。被害者の息子である少年桐原亮司と、被害者が事件の直前に会っていた女性の一人娘である少女西本雪穂。事件から年月が流れる中で起きる様々な不穏な事件が描かれるのだが、それら様々な事件の影にはどこかでこの二人との接点が微かに見え隠れする。老刑事がこの事件を追い続けるまま19年の歳月が過ぎたが・・・。


文庫版で800ページを越えるボリュームだが、19年の歳月の間に起こる事件がそれぞれに妖しい魅力を放っていて、飽きさせずにぐいぐい引き込む。昭和○○年といった直接的な記述はせずに、オイルショック、スポーツの話題、スーパーマリオの話題、、、といったニュースで各章の時代を描いている試みも興味深く読める。

それぞれの事件と微かに絡む二人(亮司・雪穂)の持つ闇の部分が最大の読ませどころなのだが、様々な登場人物の視点で各章が語られる中で、この二人の内面を直接的に描写した部分は皆無である。つまり、この二人については、淡々と行動だけを描いている。それでいてこの説得力、二人が登場"しない"シーンですら時折背筋を凍らせる不穏な存在感、圧巻である。

怪しいのはこの二人で間違いないのだが、逮捕に至る決め手がない。微かな手がかりを掴んでいく謎解き的な過程もさることながら、でもやはり先ほど「読ませどころ」と書いたこの二人の闇の部分が主なんだろうなー。という意味で、ミステリとして読むと異端、いや新感覚というべきか。
ミステリの手法を効果的に使いながら、ミステリの枠を軽々と飛び越えて様々な分野に挑む東野圭吾、これもそんな中の一つ、傑作である。


白夜行/東野圭吾/集英社文庫
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