「背の眼(上)(下)」道尾秀介


いやー本当に外れないわ。
向日葵の咲かない夏
骸の爪
片目の猿
に続いて4冊目(上下巻なので厳密には5冊だが)読了。またしても快作。
まずはAmazonより引用。
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児童失踪事件が続く白峠村で、作家の道尾が聞いた霊の声。彼は恐怖に駆られ、霊現象探求所を営む真備のもとを訪れる。そこで目にしたのは、被写体の背中に人間の眼が写り込む、同村周辺で撮影された4枚の心霊写真だった。しかも、彼ら全員が撮影後数日以内に自殺したという。これは単なる偶然か?第5回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。
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読んでる順番がめちゃめちゃなのだが、これが著者のデビュー作。順番どおりに読むとまた違った印象だったかも知れないが、いずれにせよ傑作であることに変わりはない。
ホラーサスペンス大賞、ということでホラー色が強いものの、どちらかと言うと、ホラーのテクニックでほどよく味付けされた、あくまでミステリと言うべきだろう。後の作品で顕著になるが、本筋の謎とは少し離れたところで謎を提示したりビックリを仕掛けたりするあたり、ミステリでさえこの著者にとってはテクニックの一つなのかも知れない。
なぜこんなことを書くかというと、やはり「物語」としてしっかりしているから。
本作について言えば、ミステリ的なカタルシスもホラー的な怖気もあり、あるいは思わず頬の緩むユーモアまでも現れるが、それらが著者のテクニックの一部に過ぎないことは終盤の読後感ではっきり思い知らされる。ただの浅はかな「ハッピーエンド」とは違う、何かが心に残る感じ。物語、として素敵なのだ。
どれもこれもこんなに質が高くて、本当にこれらを読めることが幸せである。
あーやめられない。
背の眼(上)/道尾秀介/幻冬舎文庫
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背の眼(下)/道尾秀介/幻冬舎文庫
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