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「日本語でどづぞ」柳沢有紀夫

日本語でどづぞ

タイトルは決して「どうぞ」の間違いではない。いや、「どうぞ」の間違いなのだが、本としては間違いではなく、間違っているから正しくて・・・

・・・とか遊んでしまったが、つまりこれは、海外で見つけた間違った日本語を集めた本である。
1,2ページに1ネタの割合で、おかしな日本語が写真と共に紹介されていて、笑いながらさらさら読める。対象は、商品のパッケージから、レストランのメニュー、Tシャツのプリントまで多岐に渡る。

例えば、フランスのパリのレストランのメニューに書かれた「風邪は飲む」。
何かと思えば、「cold drink」を訳したもののよう。こんなのがひたすら続く。

海外に行かれたことのある方、あるいは輸入品を買われたことのある方には結構経験があるのではないか。明らかに日本語を理解せずに書かれた間違った日本語。でも、見つけると不思議と、怒るわけではなく、むしろなんだか嬉しくなってしまう。そしてときには爆笑なんてしてみたり。そのたびに幸せな気分になれるのだが、これはそんな幸せをまとめた本であり、手にしただけで幸せが保証されたようなもんで、いやはやお得な本である。

個人的に発見して嬉しくなったのは、これもやっぱりフランスのレストランのメニューの写真の中で、著者からは取り上げられていないんだけれど、写真の中のメニューをよく見ると、「私達のデザート」の欄に(この時点ですでにおかしいが)、「生ぬるいりんごのタルト」ってのがあって、これが、地味ながらとても好きだ。ひとしきり笑った後で、「あー、"生ぬるい"って、あんまいい意味で使わないんだー」なんて思ったり。と、語学の勉強にもなる(・・・いや、言い過ぎた)。

まあ、日本人が書く英語にもおかしなものがいっぱいあるんだろうけれど、これを読んでると、あんまり恥ずかしがらずに、面白い失敗は笑い飛ばしてしまえばよいかなと思う。そう思えば気楽に書けるよね、きっと。間違い万歳。


日本語でどづぞ/柳沢有紀夫/中経の文庫
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「お嬢さまことば速修講座」加藤ゑみ子監修

お嬢さまことば速修講座

「講座」と冠されているが、これは、講座の体を取った一まとまりのユーモア本である。大傑作である。

タイトルの通り、「お嬢さまことば」をテーマにした本の体裁を取っているのだが、ときに過剰だったり、非常識だったりして、「おや?」と思わせる。それが小気味よく笑いを誘う。・・・これは決して穿った見方でも皮肉でもない。その証拠に、途中、下記のような表現が現れる。

「(略)・・・それまでになさっていた美しいことばづかいをたちまち、ぶち壊して、失礼いたしました、台無しにしてしまいます。」

笑ってよいのである。笑って下さい、というサインなのだ。
「ぶち壊して、失礼いたしました、」と書くところがつまり「皆さんお気づきの通り、この本はユーモア本ですよ」ということをアピールする大ヒントなのである。そしてここを読み、「ああ、これはやはり笑ってもよい本なのだ」と気付かされ、安心するのだ。
この視点になれれば、もうこっちのもの。以降「おや?」に出会うとたちまち爆笑できる体質に変化する。
例えば、「お」をつける言葉に関しての説明で、「お紅茶ではなく、コーヒーをいただきたいときは、何と言ったらよいのでしょうか?」という質問に対しての回答が、「コーヒーではなく、お紅茶を召し上がるのが、お嬢さまでございます。」なんて最高に面白いではないか。

ユーモア本は好きなのだが、「爆笑!」なんてタイトルに付けているものは却って全然笑えなかったりすることが多々ある。その点、この、極めて引きの姿勢から高度に笑わせるスタイルは貴重だ。この点において非常に「上品」である。この奥ゆかしいユーモアこそ品があると呼ぶに相応しい、ということ。

笑いを前面に押し出さないユーモア本というのは、「最後の一行で大どんでん返しがあるミステリを読みたいが、事前にそれと知って読むと、あまり驚けない。だから、探せない」のと一緒で、その性質により探すことが難しい。そんな一冊に出会えたことが幸せだ。
この一歩引いたところからの笑いに興味がある方に自信を持ってオススメしたい。


お嬢さまことば速修講座/加藤ゑみ子監修/Discover
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