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「9年間、コンビニで見た日本人」徐明成

9年間、コンビニで見た日本人

日本在住の韓国人の著者が、コンビニでのアルバイト・店長・オーナーとして働いた9年間にコンビニで出会った日本人の姿を描いたエッセイ。

いやー、ここで描かれる日本人、同じ日本人として恥ずかしくなるくらいひどい!
レジにお金を投げつける客、日本人でないと分かるとあからさまに態度を変える客、子供に万引きをさせた挙句、指摘すると怒鳴りつける親・・・。
読んでいて気分が悪くなるほどだが、これが現実、向き合うために読んでいると、時々天使のような客も現れる。(ほんのちょっとだけれど)

一貫したメッセージは、「大人がしっかりしなければ、日本は滅びる」ということ。
しっかりする、といっても、たいそうなことをするわけではない。ここで紹介される「悪魔のような人」のほとんどは、ちょっとした言葉遣いが悪いとか、すみませんが言えないとか、すぐに怒鳴る、とかそういった日常の言動の配慮不足が殆ど。(さすがに万引きのような犯罪は例外だが)
ちょっと気をつけるだけで、お互いに気持ちよく過ごせるようになるのでは、と思うのだ。

ということに気付けるだけでも、この腹立たしく恥ずかしい各章は日本の悪しき実情として読む価値があると思うのだ。
(でも、さすがに「エロ本はいい本だよ」というスケベ紳士だけはそっとしてあげてほしかった気もするが・・・)

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ちょっとだけ残念なのは、「○○だろ」という日本語を著者が間違えて覚えてしまっているらしく、全て「○○だら」になっていること。
客と店員が一触即発、緊迫したシーンで「お前、日本人じゃないだら」とか言われると拍子抜けしてしまうのだった。
編集者が指摘してあげればいいのにー。


9年間、コンビニで見た日本人/徐明成/朱鳥社
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「思考の整理学」外山滋比古

思考の整理学

「東大・京大で1番読まれた本」という挑発的(?)な惹句付きの文庫本、つい先ほどびっくりしたのだが、Amazonでの売上が10位になっていた。そんなに売れてるのねん。なんせ1983年、今から26年前の著作である。(文庫化は1986年。)怒涛のロングラン。(「東大・京大で1位」と書くより「Amazonで10位」と書いたほうが強力なのに!・・・というのは私的な感想なのでまあそれはよいとして)

自分の頭で「考える」ことについての連作エッセイ。一つ一つが6ページにまとめられていてすっきり読み易い。一つ一つ読み切りでありながら、全体が有機的に連なり、一つの流れを成している。

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「ただ、これからの人間は、機械やコンピューターのできない仕事をどれくらいよくできるかによって社会的有用性に違いが出てくることははっきりしている」(本文より)
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もう一度言うが、26年前の作である。
高度経済成長やらバブルやらで仕事も景気も潤っていた時代に既に、IT化によって単純作業が次々と削減されていく現在を予見していたようだ。親切にも、「サラリーマンは思いもかけぬ強敵の出現に、もっとおどろかなくてはならないはずだ」とまで警告している。(強敵=コンピューター)
そして世界はその通りに進歩した。
よくも悪くも単純作業の淘汰が進み、人々の仕事は奪われていっている。

進歩は加速を続けている。Google検索エンジンの登場により、たとえば「物知りであること」の価値は相対的に大きく下がった。検索すれば何でも手に入るからである。ギャル語もカレーの作り方も明日の天気も瞬時に検索できるインターネットは、分厚い百科事典よりも既に物知りである。そんなものに人間の脳味噌が敵う道理はないのだ。
・・・少なくとも記憶力においては。
そう、人間にも勝てる分野がある。それは人間にしかできない思考である。
この本質は26年経った今も変わらない、というより、より顕著になった。
色褪せない、どころか今後ますます輝きを増していくであろう、古くて新しい名著だと思う。


思考の整理学/外山滋比古/ちくま文庫
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「ウはウミウシのウ」宮田珠己

ウはウミウシのウ

10年に及ぶサラリーマン生活をやめた後、旅行好きが高じて旅行記中心の作家になった筆者による、シュノーケルにとことんこだわったエッセイ集。

・・・旅行記と書いたが、普通の旅行記ではない。ユーモアエッセイ、・・・というのもまた違う気がする。ところどころに独特の笑いを交えながら、のんびりと我が道を行く、既にこの人の作品はもう「宮田珠己の世界」としか言いようのない世界観である。

テーマであるシュノーケルに対するこだわりからして独特。シュノーケルがやりたいのであって、ダイビングがやりたいのではない。なんだかダイビングのほうが格上のような扱いをされることが多いけれど、ダイビングは努力が必要だから嫌だ、と思っていたらシュノーケルのほうでもインストラクターからマジメな特訓をさせられて、これも嫌だ、・・・てな感じで、向上心とかよりプカプカ浮いていることに意義を感じる、とにかくマイペースなこだわりである。

そして、プカプカ浮かんだ状態で海の変な生き物を観察するのが大好きなようで、ところどころにそれら生物たちのイラストが載っている。もちろん本人によるものだが、もとがよくわからない変な生き物だからなのか、これがまたほどよい脱力感があって楽しい。

そして、隠れた醍醐味は脱線である。
例えば沖縄の話だと思ったら親知らずの話になって、いつのまにかそっちが主題になっていたり。目くじらを立ててはいけない。これもプカプカ浮くシュノーケルのように、気ままに漂う快感なのである。いつの間にかおかしなところに流れ着いていたけれど、楽しかったからいいか、みたいな。(でもちゃんと戻ってきて!)

あープカプカ浮きたい。


ウはウミウシのウ/宮田珠己/白水uブックス
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「これが佐藤愛子だ1」佐藤愛子

これが佐藤愛子だ1

自己主張の強烈なタイトルに思わず買ってしまった。サブタイトルには「自讃ユーモアエッセイ集」とある。

この著者の本を読んだのは初めてだが、略歴によると、昭和23年生まれで、直木賞、女流文学賞、菊池寛賞と過去に受賞してきた大御所女性作家らしい。

本書は昭和43~48年に書かれたエッセイをまとめたものである。
ということで、もう40年前なのだが、全く古臭くない。どころか、言葉の切れ味が全くもって爽快。

多くは男について書いたものである。と言っても恋愛というよりは、もっとサバサバと男の生態を描いたような、そんな感じ。「女性の社会進出」なんて言葉が近頃ささやかれているが、40年前の女性が既にここまで進歩的というのは目からウロコと言うか、新鮮な驚きだ。

特に面白かったのは、「第三章 愛子の小さな冒険」の章。
この章は大きく二つに分けられる。
一つは、「公園の草むらで行為にふけるカップルを覘く人たちをさらに覘く」試み。なんでも、この場合覘く側は犯罪ではないらしい。行為に及んでいるカップルのほうがむしろ犯罪であるため。
そしてもう一つは、「オバケ屋敷で、脅かす側に回る」。なんとも面白い企画満載である。

そして最終章に至っては、豪快な下ネタ(?)のオンパレードで・・・。

最近になって女性が変わったみたいな言われ方がすることが多いように感じるが、いやはや、いつの時代も強い女性は強いのです。時代を越えて、オススメ。


これが佐藤愛子だ1/佐藤愛子/集英社文庫
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「にょっ記」穂村弘

にょっ記

詩人の著者、以前読んだ「本当はちがうんだ日記」が面白かったので2冊目突入。

おそらく「日記」をもじったタイトルの本書は、飛び飛び日付の日記(この脱力具合がよい!)形式で、日常のちょっとしたことに目をつけて、面白おかしく綴ってゆく小品集。そして、何気ない日常の連続と思いきや、・・・ふと天使が現れたりして、現実と妄想の間を行ったり来たり。相変わらず言葉のセンスも素晴らしい。

殆どのものは1ページ程度で、短いものは数行、全体も160ページ程度と短い。そして、何より他愛もないのがよい。とても気軽に読める。
ので、一気に読むのもよいけれど、枕元に置いておいて、寝る前に1ページ読む、なんてどうでしょう。
一日の最後に、ささやかな心の癒しになると思います。


にょっ記/穂村弘/文春文庫
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