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粘膜兄弟 飴村行

粘膜兄弟

期待の粘膜シリーズ3作目。
著者のデビュー作でもある1作目「粘膜人間」が日本ホラー小説大賞長編賞受賞、続く2作目「粘膜蜥蜴」が日本推理作家協会賞受賞という実績。

そんな中での3作目だが、何が凄いって、これまでの2作品を確実に凌駕している。
どんどん面白くなる作家というのは、本当に期待が持てる。この先が更に楽しみ。

さて、肝心の内容だが、タイトルの通り兄弟(双子)が主人公。
戦時中の日本を舞台に、「ゆず子」という女性に恋焦がれる二人。と、ここに「フグリ豚」やら「黒助」やらファンタジー要素も加わり、独特の世界観で独特のストーリーをずんずん突き進んでゆく。
独特の、と書いてしまうのは簡単だが、これが本当に独特なのだ。ここでしか味わえない世界。これが粘膜クオリティ。脈絡がないかの如く突き進みつつ、しっかりと伏線の回収までやってのける、話の展開が見事。

なんだか全然ストーリーの説明になっていないが、事前知識なんて無しでこの不思議な世界に身をゆだねてくれたまえ!だって、すごいリーダビリティ。ユーモアも鋭くて、一行一行が、読んでて楽しく幸せ。こんな読書体験素敵じゃないの。

特徴として過去の作品同様グロい描写を含むので、万人には勧められないかも知れない、知れないけど、お勧め・・・!

楽しみな作家だなあ。幸せ。


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「夜市」恒川光太郎

夜市

第12回日本ホラー小説大賞受賞作。

一応ホラーに分類されるようだが、幻想的で美しくて妖しい世界観で、すっと読ませる。

============
「夜市」で、自分の弟と引き換えに野球の才能を手に入れた主人公裕司。弟を取り戻すために、高校時代の同級生のいずみを連れて再び夜市を訪れるが・・・。
============

不思議な世界観に自由な展開、そして、確かに不気味な怖さがある。
でも、最後には感動に似た感情を抱かせる。これまたよい作家に出会ってしまった。他の作品も試してみたい。


夜市/恒川光太郎/角川ホラー文庫
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「粘膜人間」飴村行

粘膜人間

著者の二作目である粘膜蜥蜴を最初に読んだのだが、こちらがデビュー作で、第15回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。

個人的には質の高さは二作目に劣ると感じたが(これはよいこと。一発屋でなくきちんと腕を上げているということなので。)、それでも著者の持ち味である極限まで上り詰めたエログロ描写や、摩訶不思議ながらぐいぐい読ませるストーリーテリングの手腕はここでも発揮されており、かなり楽しめた。

暴力がどうにもならない三男を殺そうと長男と次男が殺害を画策。
それを相談した相手の「ベカやん」というおじさんが変わり者で、次男の祐二に見返りに求めたと言えば・・・。
しかもそれと引き換えに、教えてくれた手段というのが・・・。
詳しくは読んでのお楽しみだが、こんな感じで異次元展開が続きながらも、決して読者を置き去りにはせず、魅力ある語り口できちんと引き込んでくれる。

グロ描写のえげつなさはここでもやはり眼を背けたくなるほどだが、それも含めて粘膜ワールド。
この人はやみつきになりそうだなー。他ではどうにも得られなそうな独特の世界をしっかり手にしている。うう、もっと読みたい。


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「玩具修理者」小林泰三

玩具修理者

短編「玩具修理者」と中編「酔歩する男」の二本立て。

表題の「玩具修理者」は第二回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。

街に玩具修理者という人間がいて、子供達のどんなオモチャも直してくれる。
・・・この時点でなんだか怪しげなのだが、死んでしまった猫まで玩具修理者に直してもらおうと持って行く女の子が現れたあたりから寒気がし始めて、そして、果ては・・・。

グロっぽい描写もあるのだが、残酷というより、静かに進む物語の中で妖しく不気味な怖さを醸し出している。
ちょっとびっくりさせてくれるラストにも満足。

短編のホラーというものは馴染みがなかったのだが、これは、癖になりそうだ。
もっと探してみよっと。


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「粘膜蜥蜴」飴村行

粘膜蜥蜴

いやはやすごい作品だ。

舞台は第二次世界大戦中の日本。だが一味違う。
冒頭に出てきた「爬虫人」と言う言葉に、知識のない私は「ひょっとしたら特定の人種に対する当時の蔑称か」と思ってしまったが、そうではなく、これはトカゲの頭をした人間。つまり架空の生物だ。
こんな独特の世界が展開され、あっという間に話に引き擦り込まれる。

大金持ちの子息雪麻呂の家の地下室で、雪麻呂の友人の真樹夫と大吉がおぞましい体験をする第一章。
真樹夫の兄である美樹夫の、戦地ナムールでの極限状況と、そこで出会った爬虫人の村での不思議な体験を描いた第二章。
再び舞台が日本に戻り、雪麻呂の傍若無人ぶりや許婚への思いを綴った第三章。

各章でぶっつりと別々の話が展開されるようでありながら、終盤にはその糸が綺麗に一本に繋がる美しい構成。

そして今更ながら、この作品、ホラー文庫である。
ここが肝で、おそらく描写のグロさをしてホラーと呼んでいるのだろう。そう、殺人などが起こるのだが、描写が本当にエグい。文字を読みながら顔を背けたのなんてこれが初めてかも知れない。
それくらいビジュアルに人の死や争いが醜くリアルに描かれる。
また、怖いのはそんなグロ描写だけではない。人間の汚い部分、これがまた怖い。
肉体的にも精神的にも嫌な部分をこれほどまでかと見せ付けられる。

・・・のだが、これが不思議と心地よい。
こうした、人間の見たくない部分まで潜り込む行為こそ小説の醍醐味ではないだろうか。
すっと綺麗に読める小説なんて、心には何も残らない。ごてごてしながら、心には確実に何かを残していく、これは強力な作品である。

そして、あらゆる感情が美しく結実するのはラスト2行。
優しさも恐怖も、人間のいろいろな感情を飲み込んだ芸術的な結末。
あまりの美しさに何度もページを戻って読み返してしまった。

グロ描写のため好みは分かれるかも知れないが、個人的にはとても気に入っています。

あと追記。第三章で描かれる雪麻呂と下人の富蔵との漫才のようなやり取りは秀逸。
こういう軽さもさらっと織り交ぜるから、重い作品ながらきっと気持ちよく読めるのでしょう。


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