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「下流大学に入ろう!」山内太地

下流大学に入ろう!

なんとも風変わりで刺激的なタイトルだが、もちろん意図がある。

「いい大学に入って、いい会社に入れば一生安泰」だった社会は既に過去のものになりつつある。近年の閉塞感を見るに、所謂エリートだけではこの国をよい国にはできなかったことが分かる。人口の大多数を占める「庶民」の力の向上である。ここに閉塞感の突破口があるのではないか・・・?

・・・という視点から、全国の大学を渡り歩き取材した著者が、様々な大学の、特色のある試み・取り組みを紹介していく。
読んでいたら再び学び直したくなってしまった。(偉そうに「学び"直す"」と言えるほど勉強したことはないのだが・・・。)

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あなたが勉強すると、世界が平和になるのだ。
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ちょっと論点はずれるかも知れないが、いわゆる「成果主義」が少なくとも日本ではうまくいっていない理由は先の「庶民の力の向上」の観点で説明することも可能ではないか、と少し思う。例えば、もともとの実力がそれぞれ100、50、30のそれぞれAさん、Bさん、Cさんがいたとする。成果主義というのはAさんばかりにご褒美を与えることであって、これをするとどうなるかと言うと、残りのメンバは自信とやる気を喪失する。すると仕事の効率も下がり、結果的に50、30の力がたとえば半分の25、15になってしまう。これは全体としては計40の力の無駄な喪失である。
必要なのは、自分の実力をどれだけ発揮できたか、あるいはどれだけ進歩できたかの評価ではないか。100、50、30の人がそれぞれの努力で5ずつ進歩すれば、全体は105、55、35になる。+15であり、-40の先ほどの例との差は歴然である。

これを実現できるか否かは多分に「評価する側」の問題である。
これには社会やマスコミも含まれる。もう学歴、職歴、性別、etc...での偏見はやめませんか。足を引っ張り合っているうちに船全体が沈んでいくようなバカな社会にはしたくない。


下流大学に入ろう!/山内太地/光文社
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「中学生から、あなたへの言葉」少年の主張全国大会

中学生から、あなたへの言葉

「少年の主張全国大会」という、中学生が作文発表を行う大会の原稿を集めたもの。
決して、甘く見てはいけない。最初の数編で泣かされてしまった。

全編に渡って、素直なエネルギー、鋭い洞察、豊かな感性が満ち溢れている。
考えさせられ感心する言葉も多い。いくつか紹介する。

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「命を大切にするということは一日一日を一生懸命、前向きに生きること。」
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本当の思いやりとは相手に何かを「してあげる」ことではなく、相手が今何を望んでいるのかを考えそれを手助けすることです。
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中学生の時期というのは、子供から大人へ生まれ変わる、ちょうど両方の性質が見え隠れする時期なのだろうか。それだけに時々ギャップにドキッとさせられる。

・・・さて、ちょっとだけずるい見方をすると、「大変な境遇の子の作品が多い」ということかな・・・。こんなこと書くのはよくないのかも知れないけれど、「家庭の事情や健康面などに問題があり、一度はくじけそうになったけれど、そこから前向きな何かを掴み取った」というものが多い。これは選者の嗜好なのか、それとも、大変な経験をした子供のほうが結果的に精神が成長するということなのか、・・・なんてことをこれ以上考えるのはよそう。それよりも、まっすぐな言葉に向き合い、まだまだ日本の未来は捨てたものではない、ということを確信できる、希望の一冊。


中学生から、あなたへの言葉/少年の主張全国大会/サンマーク出版
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「鬼教頭の目にも涙」柳下要司郎

鬼教頭の目にも涙―国士舘高校・通信制の生徒と先生が起こした奇跡(画像無し)

国士舘高校の「通信制」での教師と生徒の生活を追ったルポルタージュ。

「通信制」というものに馴染みのない方も多いだろう。私もその一人だったが、見事に先入観を覆された。まず、"登校できる"通信制、というものの存在を知らなかった。通信制という言葉と矛盾するようだが、例えば週2回といった頻度で登校しながら勉強を進めていくようだ。

通信制を利用する理由は様々だが、中には、全日制の学校で不登校になってしまい、通信制の門を叩いたというケースも多いようだ。そんな生徒、初めて訪れたときは一言口を利くこともままならなかった生徒たちが、徐々に心を開いていく。

心を開かせていくのは、自らを「暴力教師」「無責任」と呼ぶ丸谷を始めとする、心優しくときに厳しい教師たちだ。その一つ一つのエピソードは是非実際に読んで頂きたいのだが、その中の一つ「待つ」を紹介したい。

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全日制で教師をしていたころとの大きな違いは、がんばろうと言わなくなったことです。ここで単位を取れば、進級できるんだから頑張ろうよとよく言っていました。でも、通信制では、本人がやる気になったとき、本人が自分でそうしてみようかなと思ったときまで待つのです。
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単位も自分のペースで取れるからこそ「待てる」のだが、ときに待つということは「頑張れ」ということよりも辛い。はずだ。それでも待つ。根気がいるだろうと思う。
だからこそ、そこに深い愛を感じる。

「頑張って」「頑張ろう」ってつい言ってしまうなー。
言うのは簡単な常套句だけど、プレッシャーを掛ける言葉でもある。・・・そんな自戒はともかく、こんな教師に教わりたかったと切に思う。ときには体罰を与えてそれでもなお慕われる信頼関係、いいな。


鬼教頭の目にも涙/柳下要司郎/ごま書房
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